東京下町から共に世界へ ー HMAENを支える想い02 ー

2018.1.22

東京の下町モノづくりの街で生まれるHMAENは、“本物”を生み出すことの喜びと困難を知る多くの専門業者たちの仕事に支えられています。ときに時代に逆らうようなプロ根性を見せながら、たくましく業界を生き抜いてきた彼らの目にHMAENはどう映っているのか? 第2回は、タンナー経験と革問屋で培った豊富な経験・知識を活かし、他では扱わないような特殊なレザーを取り揃える「株式会社アイズ・レザー」の代表・井澤さんにお話を伺いました。

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——他所ではあまり見かけることのない特殊なレザーを扱っているアイズ・レザーですが、この会社を立ち上げられたきっかけは?

私は以前に革問屋で働いていたのですが、その時に2年ほどタンナーの元に常駐して革の生産に携わる経験を得たんです。それまで世界で様々な革を見てきましたが、日本のタンナーの技術は決して世界に引けを取らない。革らしい革がどんどん減って、コーティングまみれのビニールのような革が主流になる中で、自分の知識・経験・コネクションを活かしつつ「レザーの本当の良さ」を伝えられる会社をつくりたいと思ったのがきっかけですね。

 

——HMAENの他にも付き合いのあるバッグブランドはあるのですか?

一部ありますが、広告を出して物を売るような規模のブランドはHMAENぐらいですね。あまり大手とは付き合いがないんですよ。

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——意図的にそうされている?

ええ。実は大手のアパレルやブランドを持っている問屋などと仕事をしていると「正直もう付き合っていられないな」ってことも多いんですよ(笑)。在庫のある革から選んでもらうのならいいのですが、タンナーを巻き込んで特別な革を別注したりすると、「思っていたのと違う」というようなクレームが頻繁に起きてしまう。結局デザイナーが革のことをよく知らないんですよね。そうなるともう「言った、言わない」の世界になってしまって、こちらとしてもなかなかいい商売にならないですから。

 

——そんな中でもHMAENデザイナー・大友と付き合いがあるのは、彼が革のことをよく知っているからですか?

そうですね。大友さんはデザインだけでなく、実際に革を切り、縫製をして物を作ことができる人です。革を見て、実際の仕上がりまでイメージできるので、こちらも本音で話しやすいというのはありますよね。

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——仕事相手としても面白い?

ウチで扱うような特殊な革を、きちんと特殊だと見抜いてくれるので、やっぱり面白いですよ。ただ、ある意味何を考えているのかわからないような人なので、こちらから提案するというよりは「ウチはウチらしい革を揃えて、彼のことを待っておく」という感じですかね。大友さんの思いつきに対応できるようなるべく面白い革を揃えるだけ。彼は要求も高いですが、ちゃんと無理なことは無理だとわかってくれますし、お客さんですけど「そこまでやりたいなら直接タンナーに連絡をとってみた方がいい」とか、かなりぶっちゃけた話をすることもありますね(笑)。

 

——客ではあるが、同じ業界の仲間みたいな感覚でしょうか。

ある意味それに近いと思いますね。僕みたいな人間がこういう革屋をやらないとレザー文化の幅が失われてしまうのと同じで、大友さんみたいなデザイナーがいないと、革の本当の良さが一般の人に伝わらない。レザー業界はいま、良い意味でも悪い意味でも、身の丈にあったことをやるしかない状況だと思います。そこに真摯に情熱を傾けることができた人にだけ、次のステージへの道が拓けてくるというか……。大友さんはそれをやれた人だと思いますし、僕の方としてもこういう状況だからこそ、面白い革の選択肢を作り手に与えられるような存在でありたいと思っています。

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——HMAENのバッグにはアイズ・レザーが扱う革が多く使われていますが、仕上がった製品についてはどんな印象を抱いていらっしゃいますか?

単純に、かっこいいですよね。私は革問屋に勤務していた時代から「大友さんのデザインはかっこいい」って言ってきたんですけど、当時は彼のこだわりが強いせいか、いつもスポットみたいな付き合いで、なかなか良い形の関係に繋がらなかったんですよ(笑)。でもHMAENを始められてここで再会できた時に、すぐにウチのレザーを気に入ってくれたので、だったらぜひ私のバッグを作って欲しいとお願いしたんです。「幾らになってもいいからって」……そう言ったか、言ってないかは覚えていないですけど(笑)! だから私もHMAENのバッグを個人的に愛用しているんですよ。

 

——大友の今後に期待することはありますか?

彼の考えていることは、もう私よりずっとレベルの高いものだと思うので、期待するというよりは「どこまで行くのかな」って興味だけです(笑)。そこに私もどこまでついていけるか。ものづくりなのでコストはもちろん大切ですし、大友さんはその中で「できるだけいいものを作りたい」っていう想いが本当に強い人なので、ウチもその想いにどこまで近づけるか勝負して行かなきゃいけない。ぶつかったり、文句を言い合ったりすることもあるかもしれませんが(笑)、これからも良い関係でいられたらと思いますね!

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【連載】
東京下町から共に世界へ ー HMAENを支える想い01 ー
東京下町から共に世界へ ー HMAENを支える想い03 ー