東京下町から共に世界へ ー HMAENを支える想い01 ー

2017.12.28

東京の下町モノづくりの街で生まれるHMAENは、“本物”を生み出すことの喜びと困難を知る多くの専門業者たちの仕事に支えられています。ときに時代に逆らうようなプロ根性を見せながら、たくましく業界を生き抜いてきた彼らの目にHMAENはどう映っているのか? 第1回は、文政11年(1828年)に京都で創業した「橘屋専助商店」に源流を持つ生地・織物の老舗「ニシムラ株式会社」にお邪魔しました。

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—— 鷲巣さんはニシムラに入社されて何年になるのですか?

今年で7年目になりますね。ウチは主にバッグなどファッション雑貨向けの生地や芯地等を扱う会社なのですが、HMAENでは3年ほど前からカバンの裏布などを提案させて頂いています。

 

—— HMAENデザイナー・大友に最初に会った時の印象は?

ウチはバッグの布地などを扱う会社なので、もちろんお会いする前からお名前もその功績も知っていたのですが、実際に会ってみるとやっぱり迫力がありましたね。いまでもHMAENの作業場に伺う際は、玄関に大友さんの靴があるとピリッとします(笑)。

 

—— 弱みを握られると値切られるんじゃないか、とか(笑)?

いやそんなことはないんですけど(笑)、なんていうんですかね……大友さんはパーツに対するイメージも明確でこだわりも強いですし、常に製品の向上を望んでいる方なので、こちらもずっと気が抜けないんですよ。シーズンの立ち上げ当初から何度も提案を積み重ねて、やっと決まりそうになった布が、ある日突然取り止めになったりすることもありますからね(苦笑)。

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—— そういったことは、他社さんの発注ではあまりないことですか?

そうですね(笑)。だから最初は驚きましたけど、今はもう慣れてきたので色々な可能性を考えながら仕事を進めるようにしています。個人的にHMAENの製品は大友さんの直感が反映されることが大切だと思いますし、結局はそのチョイスにもちゃんとした理由があって、出来上がったバッグを見ると僕自身もその布が選ばれたことにすごく納得ができるんですよ。

 

—— 鷲巣さんにとっても発見の多い仕事になっている?

ええ。実は、裏地の色や柄を頻繁に変えるバッグメーカーは少ないので、こちらの提案に幅を持たせられるような仕事はあまり多くはないんです。だからHMAENの仕事は自分が積極的に関われる余地が多いような気がして、自然と身が入りますよね。大友さんにハマる提案を行うためには知識も経験も必要なので大変ですが、とても良い勉強をさせてもらっていると思います。“自分の成長を確認させてもらっている仕事”と言えるかもしれません。

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—— 普段あまり目につかない裏地だけではなく、Packerシリーズの新作ではバッグの顔を決定づける表地も提案されていますよね?

それまでPackerには、リモンタというイタリア製のナイロン地が使われていたのですが、日本製のナイロン地に変更してもらったんです。でもリモンタというのは、名前だけで箔がつくような高級ナイロンですから、正直決まった時にはビックリしたんですよ。大友さんに「もうリモンタって言えないですけど、それでもいいですか?」ってきいたら、「別にリモンタを使っていたって、そんなことを売りにしたことはない」って言うんですから(笑)。これはちょっと他のブランドではありえない! 最近は生地の本質も見られないまま、ただタグがついているだけで売れてしまうようなことも多いのですが、大友さんみたいな影響力のあるデザイナーがこうした生地の選び方をしてくれると、業界としてもすごく勇気付けられるんですよ。自分のものづくり、もの選びに自信があるということは、良いものを生み出すために絶対に必要なこと。大友さんは、そうしたものづくりの核となる部分を全て自分で完結できる人ですから、こうした人に会えなかったら、自分の仕事のクオリティも全然違っていたのではないかと思っています。

 

—— Packer 2ndは、鷲巣さんも愛用されているんですよね。

そりゃ、もちろん! 出来上がるまでの過程を一番長く見たバッグなので、やっぱり自分で持っていたいですよね。でもこれ、滅多なことでは持ち出さない勝負リュックなんです(笑)。大きな商談がある時とか、気合を入れたい時には必ずこれを背負うようにしています。

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—— 苦労も多いだけに、やっぱりHAMENへの思い入れは強いですか?

そうですね。基本的に僕らの仕事の多くはお客様に発注された生地を納めるだけで終わってしまうのですが、HMAENの場合は必ずサンプル生地を発注頂き、それで試作したバッグを一緒に確かめるという行程があるんです。自分が持ち込んだ生地が正解だったのか、他にもっと良い候補はないのか。それを確認させてくれるデザイナーさんはほとんどいませんから、自分にとっては本当に刺激的な体験なんですよ。よく飲みにも連れていってもらって、バッグのことだけじゃなく、怪しいこともたくさん教えてもらっているんで(笑)、勝手ながら自分もHMAENの一員になったような気分で仕事をさせてもらっています。大友さんにぜひ試してほしい生地もありますし、これからもどんどん新しい提案をぶつけていけたら嬉しいですね。

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