HMAEN Autumn/Winter 2016 “HMAEN”、刷新

2016.10.18

“道具”としての鞄

 2013年に「HMAEN」を立ち上げて3年が経過しました。それまでも鞄の企画やデザインをしてきましたが、自分たちでハンドメイドするというのは初めてのことで、必要な道具を一式揃えることから始め、手探りで鞄作りに取り掛かりました。そこで改めて思い知ったのが鞄作りの難しさ……。それでも、この3年間でシーズンごとに試行錯誤を重ね、コレクションを発表し続けることで、自分たちのスタイルやモノづくりを示すことができたと思っています。
 「HMAEN」の鞄をもっと喜んで使ってもらうためにどうしたらよいか、というのは常に考えていることです。世の中にはシンプルで機能的と謳われた鞄は多いですが、本当にシンプルで上手に作っている鞄は少ないように感じます。たまに見つけても、それは手の届かないような金額で、毎日使うような“道具”としての意味が薄れてしまう。2016年秋冬シーズンの製作に入る前、買った人に満足してもらえる“道具”としての鞄、だけど気軽に使ってもらえる……、そんなモノづくりを考えていました。そして、これまでの「HMAEN」を刷新するような気持ちでこの秋冬シーズンは始まりました。

見直した3年間の課題

 今シーズンもこれまでとスタイルは一緒ですが、パターンや企画が厳密には違います。裁断した革はまっすぐでも、そのまま縫製する歪みがでてしまう。裁断のラインをまっすぐではなく弧を描くように数ミリずらすと、まっすぐに縫製もできる。今回はそういう細かい点を全て見直しました。この3年間の課題や直したかった点、未熟だった点を全部。結局はすごくオタクなんです。理想的には、なんともないように見えてとてもキレイで、機能もさり気なくある、バランスのよい鞄を目指しています。

ありそうでないもの

 鞄を企画するときに念頭に置いているのは“ありそうでないもの”。そんな違和感のある鞄を作りたいと思っています。まずはデッサンを描いて、型紙を切り、それからサンプルを作る。それらをすべて自分たちの手で行っています。他では手を抜くかもしれないことに、私たちは手間をかける。切りっぱなしの革の縁(コバ)を塗ること。それをするだけで、どれだけ見栄えやクオリティが上がるかは、ハンドメイドによって体感したことのひとつです。甘えを出すと良い鞄ができない。苦手な工程もありますが、そこを克服していかないと良いモノづくりができません。そんな葛藤がこれまでもたくさんありましたが、今シーズンはそれが克服できていると感じています。
今シーズンから気持ちも新たにホームページもリニューアルしましたが、これからはこのページで「HMAEN」のモノづくりの背景や商品のディテールについてなどをお伝えしていきます。