2018 SSの新商品の中でもひときわ目を引くナイロンリュック。
デザイナー大友が語る、「LidPacker 2nd」の魅力。
——「LidPacker」の2代目にあたる新作「LidPacker 2nd」。あえてこのタイミングで、リュックを作り直そうと思った理由は?
名前こそ「LidPacker」を引き継いでいますが、実はこの商品は「被せタイプのリュックであること」と「前回と同じナイロンを使用していること」以外は全てが刷新されているんです。だから本当は、全く新しい商品と言ってもおかしくない。今回はリュックを作り直したというよりも、今の時代に必要なカバンの形を考えていたら自然とリュックになったという感じですね。
——この商品の特徴は、レザーブランドでありながら大胆にナイロンを使用したところにあると思うのですが、その決断にためらいはなかったのですか?
全くなかったですね(笑)。僕がカバンに求める機能は、軽さ、使い勝手、耐久性です。もちろんHMAENはレザーブランドですから、それを革で実現しようとしてきたわけですが、サイズの大きいリュックになるとどうしても革では重くなりすぎてしまう。そうした時に、やっぱりナイロンって有効な素材なんですよ。だったらレザーブランドとしてナイロンをどう扱うかを考えることに注力すればいい。今回なら、例えば隅を革で補強することで生地の負担を減らすとか、そういう部分ですね。
——レザーブランドとしてナイロンリュックを作り込むために必要だったことは?
ナイロンと革を融合させることですね。実際に素材を触って何度も試作したので、ここには相当な時間を費やしています。今回やってみて気がついたのですが、僕もHMAENを立ち上げてからずっと実制作に携わってきたおかげで、現場から得られるエッセンスを落とし込むのが以前より上手くなってきたと思うんです。僕はHMAENを立ち上げる前は、革以外の素材を確かめることもないいわゆるデスクの上のデザイナーだったじゃないですか(笑)。だから、どうしてもデザイン優先でカバンを作ってしまうクセが抜けなかったんですよ。でも今回、ナイロンという異素材と向きあったことで、ようやく手を動かしながら素材やアイデアを厳選して組み上げていく感覚を掴めたような気がするんですよ。
——底に使ったスエードや補強のヌメ革など、よく見るとかなりの量の革を使用していますよね?
細かなところでパーツも多いので、結構な量の革を使っていますね。今回は床に当たる部分にはスエードを、手に触れる部分にはヌメ革を使用しているのですが、そのどちらにもたっぷりとロウを染み込ませているので、使えば使うほどに良いツヤ感を楽しんでもらえると思います。こんな革はなかなかリュックでは見ることがないはずですし、こうしたチョイスはレザーブランドならではと言えるんじゃないですかね。ナイロンの方も耐久性を保ちながらしっかりと経年変化するものを選んでいるので、革と合わせて成長を確認してもらえるはず。男らしさもありながら、ビジネスでもプライベートでも使える顔つきに仕上がったと思うので、ガンガン使い込んで自分らしいリュックに育ててもらいたいですね。