ド定番を新しく Poche

2018.4.22

古くからのスタンダードバッグと言っていいサコッシュ。ともすれば当たり前のように仕上げてしまいそうなこんなバッグにも、さらなる利便性を求めた。
レザーサコッシュ「Poche」について、デザイナー大友が語る。

Poche

——今回、定番バッグであるサコッシュを作った理由は?

サコッシュはいわゆる定番バッグですが、一般に出回っているものは縦長のものが多くて、正方形に近いものが少なかったからなんです。僕がこのカタチにしようと思った理由はすごくシンプルで、あまり縦に深いと中身が見えないから。

——正方形でなく、少し横長なシルエットにしたのは?

最低限キープしたい容量を考えた時のバランスと、あとは書類とか本とか、予想される携行品のサイズ感を考えた結果ですね。自分にとって一番使い勝手の良いカタチをイメージしたら、最終的にこの形に落ち着いた。結局こういうカバンが一番便利だと思うんですよ。開閉もしなくていいので、なんでも適当にぶっ込めますからね。

Poche

——内側にナイロンを採用しているので、それこそ折りたたみ傘なんかを入れても問題なさそうですね。

コットンより使い勝手はいいと思いますね。みんな、革バッグに湿ったものを収納するのは抵抗あると思うのですが、ナイロンならペットボトルや湿ったタオルなんかを入れても問題ない。

——シンプルな作りに見えますが、意外に苦労した部分などはありますか?

やっぱりサイズバランスとシルエットですかね。革の場合、素材自体に厚み・重みがあるので、四角に断裁しても、縫い合わせると少し下に引っ張られたようなシルエットになってしまうんですよ。最終的に縫い合わせた時にきれいな四角形になるように、パターンは何度もやり直しています。サコッシュに限った話ではないですが、実際に型紙を見てみると結構びっくりすると思いますよ。出来上がりは四角ですが、型紙はぜんぜん形が違う(笑)。

Poche
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——シンプルなだけに、微妙なシルエットの調整も際立ってくる?

そうですね。用途だけを考えれば、だた切って貼って袋にしてしまえばいいと思うんですけど、緻密に見た目まで考えると案外こういうシンプルなバッグの方が要求されるパターンの精度も高くなってくる。

——他の細かなパーツやあしらいに関しては、今季の他の商品と共通する部分も多い?

毎シーズンそうですけど、やっぱりこのバッグも現時点までのHMAENの歩みの集大成ではあると思うんですよ。様々なバッグを作り込む中で蓄積してきたノウハウがあるから、最終的な仕上げの精度もまた少し向上している。今シーズンはかなり新しいことにも挑戦していますが、このサコッシュはどちらかというとこれまでのHMAENの流れをまっすぐ引き継いだ商品と言えるでしょうね。見た目にしても、サイズにしても年齢や性別を選ばないバッグになったと思うので、いろんな人に使ってもらってレザーの良さを実感してもらいたいですね。