シルエットからディテールに至るまで、全てが一新されたHMAENのヒット作。
デザイナー大友が語る、「Tokyo 3rd 」の革新性。
——「TOKYO 3rd」は過去作「Tokyo」の3代目にあたる商品ですが、そもそもこのバッグはどういった発想から生まれたのですか?
この商品は「トート口のブリーフを作ってみたい」と思ったことが始まりだったんです。ブリーフって、「天マチ」という下にまっすぐ降りていくシルエットが主流で、当時はトート口のものがなかった。だったらトートみたいに開けっ放しで、どんどんモノをぶっ込んで使えるようなブリーフを作ってみようかと。そう考えて生まれたのが、この「Tokyo」というバッグでしたね。
——下に向かって広がっていく台形型のシルエットになったのは?
口の開き方としてはトートだけど、ブリーフ然とした雰囲気のバッグにしようと思って最初はいろんなシルエットを試していたんですよ。開口部がガバッと開く気持ち良さをどうやったら保てるか? そのためにファスナーをどう配置すべきか? そうやって試行錯誤していた時にヒントになったのが、ブガッティバッグだったんです。もともと好きなカタチのバッグだったし、あれを参考にすれば、機能的でブリーフらしさを持ったバッグになるんじゃないかと閃いたんです。
——ありそうでなかったバッグに?
そうですね。企画当時トートやブガッティバッグが流行っていたわけでもなかったから、自分でもどうしてこれを作ろうと思ったのかわからないんですよ(笑)。純粋なオリジナル作品というつもりもないですが、自然と自分の中から出てきたアイデアで作ったバッグという意味では、「Zeppelin」と並んでとても大切に考えているシリーズでもあります。
——そんな重要なシリーズ「Tokyo」を刷新した理由は?
おかげさまでずっと好評をいただいてきたバッグだったのですが、自分の中でどこかやりきれていない感覚があったんですよ。具体的にどの部分がというわけではないんだけど、HMAENのいまの発想・技術力でこのバッグを作り直したらどうなるのかを自分でも確認したいと思ってきた。今季はようやく、その課題に挑む気持ちと技術力がそろったという感じですね。
——シルエットの精度も高まり、今シーズンを象徴するようなヌメ革の補強など新しいデザイン要素も加わっていますね。
そうですね。ヌメ革の補強はカバンに縫い込むのではなく、あえてデザインのポイントになるように底から少し浮いた位置に配置しています。こういった部分も含めて、今回の「Tokyo 3rd」はこれまでよりちょっと不思議な感じでまとめたかったというのはありますね。このバッグは、文化のミクスチャーから新たなファッションを生む「東京」だから作れたバッグだと思っているんです。だから少しミステリアスで、ジェンダーレスなバッグとして、男女を問わず自由に持ち出してもらいたいですね。