業界全体を巻き込んで、追い求めたい革の質

2017.9.27

鋭い人はお気づきかもしれませんが、実はHMAENで使用する革が、今季から北米産からヨーロッパ産に切り替わりました。
その理由はとても単純。日本で手に入る北米産の革の質がどんどん落ちてきているのです。

現状は、北米産の良質な革のほとんどが中国に買い占められている状況です。かつてBランクとして日本に入ってきたような革が、いまは値段が変わらぬままAランクとして扱われている。

正直なところ、これでは理想のバッグ作りは叶いません。そんな状況を危惧してか、我々が信頼するタンナーも北米産を諦め、別の産地の革での色染めを試していた。それが、今季から採用したヨーロッパ産の革だったのです。

この新しいレザーは、私たちHMAENにとっても満足のいく革となりました。ヨローッパレザーは北米レザーに比べると、湿度が低いところで育ったせいか目が詰まっていて、ふんわりとした質感がある。小さい牧場がいくつも集まって生産に励んでいるので、大切に育てられた温かみがレザーにもしっかりと反映されているのです。

この革を採用したことで、シルエット調整のために全ての製品のパターンを見直す面倒はありましたが(笑)、製品のクオリティはさらに高まったはず。日本で良質な革を手に入れることは、この先もっと難しくなっていくと思いますが、やれることがあるうちは、同じような志を持つ業者と手を組んで、ありとあらゆる可能性を追求するしかありません。

適当につくろって誤魔化すのは簡単かもしれませんが、それはブランドの未来だけでなく、タンナーなど、革に携わる様々な業者の未来を摘んでしまう行為です。だからHMAENは、素材の仕入れから、それを製品に仕上げる技術に至るまで、どの部分にも妥協せずにやっていきたい。そして可能なら、みなさんにも良い革を判別する力を身につけて頂いて、実際にものを買って欲しいと思います。きっとそれが、この先も日本でレザーを楽しんでいくための一番の力になるのではないでしょうか。

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