シルエットや細部へのこだわりを貫いた今シーズンの新作を象徴するトート・バッグ「Kamri(カムリ)」。
あえてオーソドックスなトート・バッグの雰囲気を捨て、昨今のニーズにあうように現代風のサイズバランスを模索しました。過去作のトートと比べて容量が大きく変わったわけではないのですが、縦長でも横長でもない、絶妙のカタチを見出そうと考えたのです。
横に広いトートは個人的にどこか不格好な気がしますし、縦長だと気持ちよく口が開かない。先人の鞄職人はもちろん、私自身も幾度となく作ってきたトート・バッグですが、今回の「Kamri」の製作では一度トート・バッグの既成概念を忘れて、気が済むまでサイズやカタチと向き合うことができたように思います。
それからもうひとつ注目して頂きたいのは、鞄の中身を守るために取り付けた蓋の部分です。蓋付きのトート・バッグというと、真っ先に思い浮かぶのが某メゾンですが、実はこの蓋はミリタリーのパイロット・バッグからヒントを得たもの。今回の「Kamri」では、この蓋を美しく、強度と張りのあるものに仕上げるため、トップの部分には相当な時間をかけてコバ塗りと磨きを施しました。
今回から取り入れた平丸手のハンドルもそうですが、このトートに関してはこれまでのやり残しや課題をかなり解消できたように思います。この「Kamri」が、デザイン性と機能性を両立した新しいトート・バッグとして、これからのHMAENのスタンダードになってくれることでしょう。
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